【不朽の名作】「夜と霧」を紹介

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仕事ブラックすぎて辛い

もうマジ無理。

生きていれば大きさはいろいろですが、不運や苦悩に見舞われるもの。

その時、人はどうやって乗り越えるのでしょう?

本記事で紹介する本は「夜と霧」です。

恐らく、歴史的にみても最大級の不運に見舞われた心理学者の話です。

しかし、彼はその不運の中、人間に希望を見出します。

それでは見ていきましょう。

2行で分かる夜と霧の主張

夜と霧の主張は以下のとおりです。

  • 強く生きるには愛、ユーモア、芸術が必要
  • 人間の内面は外的な運命より強い

ここでいう強さとは筋肉ムキムキの肉体的強さではありません。

苦難を乗り越える精神的な強さをいいます。

これらの主張を詳しく紹介する前に夜と霧が生まれた背景を紹介します。

夜と霧の生まれた背景

まず、夜と霧のデータを表にまとめてみました。

タイトル 夜と霧
著者 ヴィクトール・フランクル(ユダヤ人心理学者)
出版年 1946年
ページ数 157ページ

出版年が1940年代であることと、著者がユダヤ人であることから何となく本書の背景が読み取れた方もいるかと思います。

実は、「夜と霧」というのは邦題で、原題は「心理学者、強制収容所を体験する」です。

「夜と霧」はアウシュビッツ強制収容所の支所に入れられたフランクル博士の体験記です。

夜と霧の冒頭、以下のようにフランクル博士の体験記が始まります。

「心理学者、強制収容所を体験する」。

これは事実の報告ではない。体験記だ。ここに語られるのは、何百万人が何百万通りに味わった経験、生身の体験者の立場にたって「内側から見た」強制収容所である。だから壮大な地獄絵図は描かれない。それはこれまでにも(とうてい信じられないとされながらも)いくたびとなく描かれてきた。そうでなく、わたしはおびただしい小さな苦しみを描写しようと思う。強制収容所の日常はごくふつうの被収容者の魂にどのように映ったかを問おうと思うのだ。

知られざる強制収容所p1

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こうして、強制収容所という極限状態に著者自ら体験することで発見した、人間の強さの物語が始まります。

夜と霧の内容を詳しく紹介

夜と霧では被収容者の心の反応は以下の三段階に分けられるといいます。

  1. 施設に収容される段階
  2. 収容所生活そのものの段階
  3. 収容所から出所ないし解放の段階

本記事では、2.収容所生活そのものの段階に焦点を当てて紹介します。

まず、収容所生活を送る上で被収容者は以下の2タイプに分類されるとします。

  • 精神の幼児退行を起こす者
  • 崇高な精神性に達する者

ほとんどの人間が精神の幼児退行を起こしたとフランクル博士は分析します。

フランクル博士自身も収容所生活を送る当初は幼児退行に陥っていたと告白しています。

そのエピソードとして以下のように語られています。

2時間前まで話していた仲間が死体となって引きずられていても何も感じなかった。職業的な関心からその事実に愕然としなかったら記憶にすら残らなかったかもしれない。

感動の消滅p37より抜粋

このようにフランクル博士同様、多くの被収容者が自身の感情を抹殺してしまい、人間的な感受性を失うようです。

また、満足な食事は勿論、睡眠や風呂も満足にできないため、頭の中は暖かい風呂に入りたいとか、パンが食べたいとかいう幼児のような素朴な願望で満たされるようです。

強く生きるには 愛、ユーモア、芸術が必要

愛の重要性

しかし、一方で、他人になけなしのパンを譲ったり、仲間を庇うような優しさを忘れない人もいたとフランクル博士は言います。

そんな人の言葉に触れたとき、フランクル博士は人間の強さを垣間見、自身を成長させます。

隣を歩いていた仲間が、立てた上着の襟で口元を庇いながら、ふいにつぶやいた。

「ねえ、君、女房たちが俺たちのこのありさまを見たらどう思うだろうね…!女房たちの収容所暮らしはもっとましだといいんだが。俺たちがどんなことになっているか知らないでいてくれることを願うよ」

そのとき私は妻の姿をまざまざと見た!

内面への逃避p59

仲間の妻を思いやる言葉を聞いたフランクル博士は自身も妻に思いを馳せることで、ある発見をします。

それは、心の奥底で愛する人の面影に思いをこらせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれるという事実でした。

このことからフランクル博士は、は生身の人間の存在には関係なく愛する妻の精神的存在、つまり本質に深く関わっていることを実感します。

ユーモアの重要性

また、過酷な収容所生活の中で、ユーモアが心を助けてくれたとフランクル博士は主張します。

フランクル博士は「夜と霧」の中でユーモアを以下のように定義します。

ユーモアは自分を見失わないための魂の武器。

ユーモアはほんの数秒間でも周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために人間に備わっている何か。

ものごとをなんとか洒落しゃれのめそうという試みは、いわばまやかしである。しかし、それは生きるためのまやかしなのだ。

収容所のユーモアp71~72より抜粋

実際、フランクル博士自身も、仲間と毎日1つづつ笑い話を作るようにして、辛さを乗り越えたようです。

さて、フランクル博士いわく、人間の苦悩は気体のようなものだそうです。

気体なので、苦悩はその大きさに関わらず、魂全体に均一にいきわたります。

そのため、苦悩の大小はどうでもよく、だから逆にほんの小さなことでも大きな喜びとなると。

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ほんの小さな喜びが辛いことを乗り越える糧となるなら、ユーモアもその糧に値するということと感じました。非常に勇気付けられる言葉ですね。

芸術の重要性

ユーモアの他に芸術も人間にとって必要なものだとフランクル博士は主張します。

これは、収容所で生活する仲間の様子を見て実感したことだそうです。

そのことがよく分かる描写を抜粋します。

わたしたちはアウシュビッツからバイエルン地方にある収容所に向かう護送車の鉄格子の隙間から、頂が今まさに夕焼けの茜色に照り映えているザルツブルグの山並みを見上げて、顔を輝かせ、うっとりしていた。

壕の中の瞑想p65

また、収容所内では即席の演芸会がこっそりと開かれることもあったようです。

その演芸会には、なけなしのパンを食べ損ねてもそれを観にくる被収容者もいたとのことです。

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極限状態でも芸術(自然)を求めることから、いかに人間の心の支えになるかが分かる描写ですね。

人間の内面は外的な運命より強い

収容所生活において、おおかたの被収容者を悩ませていたことは以下の問いでした。

被収容者A
被収容者A

収容所を生きしのぐことができるのか?

生きしのげないのなら、この苦しみ全てに意味が無い。

しかし、フランクル博士始め、高い精神性に至った被収容者の問いはこれとは逆でした。

被収容者B
被収容者B

私たちを取り巻くこの全ての苦しみや死に意味があるのか?

もし無意味なら収容所を生きしのぐことに意味は無い。

抜け出せるかどうかに意味のある生など、その意味は偶然の僥倖に左右されるだけで、そんな生はもともと生きるに値しないという考えです。

フランクル博士は更に語ります。

人は強制収容所に人間をぶちこんで全てを奪うことができるが、たったひとつ、あたえられた環境でいかにふるまうかという人間としての最後の自由は奪えない。

精神の自由p110

なんだか、崇高すぎてちょっとついていけないな。。。

フランクル博士自身も、強制収容所という強烈な体験をしなければ、このような精神性に至れた自信はないと断言しています。

しかし、このような崇高な精神性を浮世離れしてると考えないで欲しいとフランクル博士は言います。

なぜなら、重要なのは人間はここまで強靭な精神を獲得することができるという事実だからです。

強靭な精神性を獲得するには、現実を直視することが重要です。

そのことを警告するセリフとしてドイツの政治家ビスマルクのセリフを引用します。

人生は歯医者の椅子に座っているようなものだ。さあ、これからが本番だ、と思っているうちに終わってしまう。

私たちは過酷な現実にさらされると、「これは非本来的な何かだ」と高をくくって、過去の豊かな生活にしがみつこうとしがちです。

しかし、その過酷な現実を精神的な成長をするための試練として受け止めたとき、苦しみ全てに意味が生まれます。

最後にフランクル博士の生死感を垣間見れる一文を紹介します。

わたしたちにとって生きる意味とは、死もまた含む全体としての生きることの意味であって、「生きること」の意味だけに限定されない、苦しむことと死ぬことの意味にも裏づけされた、総体的な生きることの意味だった。

この意味を求めてわたしたちはもがいていた。

生きる意味を問うp132

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生きることを考えるとき、苦しみや死からは逃れようとしがち。

だけど、 生きることを死ぬまでの一連の流れを含めて考えれば、感情を消したり、非情になるといった生き延びるためには何でもするという選択肢は消えるはず。

つらいときにこそ思い出したし生死感ですね。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございます。

本書は発売から70年以上たった現代でも読み継がれている不朽の名作です。

そこに描かれる収容所の体験は身の毛のよだつものばかりにも関わらず、読後は非常に温かい心になる特異な本です。

人生の辛い時期を乗り越えるヒントが満載の本です。

ぜひご一読あれ!

ではまた。

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