【PDCAはもう古い?!】U理論とは何か分かりやすく解説

ビジネス書紹介

PDCAサイクル回してるのに全然問題が解決しない。

はぁ、まぢ無理ゲー・・・

仕事で、家庭で、人間生きてりゃどうしても解決しそうに無い問題を抱えるもの。

でもその問題、U理論を使うことで解決します。

なお、この記事は下の本を紹介しています。

U理論とは問題解決の原則

U理論とは端的にいえば問題解決の原則です。

世の中には天才と言われる人がいます。

IT分野のスティーブン・ジョブズ

野球のイチロー

将棋の羽生善治

U理論の特徴はそういった天才たちの内面にせまる事で、我々凡人が天才を再現することを可能とした事です。

U理論とPDCAサイクルの違い

我々になじみ深い問題解決方法としてPDCAサイクルがあります。

✔PDCAサイクルのおさらい

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)

PDCAサイクルは、端的にいえば「過去からの学習」です。

それに対しU理論は「未来からの学習」です。

U理論は下のイメージのように問題に対してアプローチします。

なんだこれ。英語とかまぢ意味不明なんですけど。

大丈夫です。初見だと意味不明で当然なので一個ずつ解説していきます。

U理論7つのステップ

ダウンローディング

ダウンローディングとは、自分の中の常識おもいこみにとらわれている状態を指します。

【例えば・・・】

現実:中国メーカーから提示される製品仕様が日本を凌駕している

常識:日本製は高品質。中国製は粗悪品

➡日本製>中国製の常識が邪魔をして、日本より高品質な中国製があることを認識できない(信じられない)。

上の例え話は冗談ではなく、現実に起こりつつあることです。

例えば、百均の製品がほぼ中国製にも関わらず、コスパが良く感じられる事からもこの現実が垣間見れます。

同じものを日本で100円で作れるでしょうか?

話をダウンローディングに戻しますが、人間は自分の常識から外れた事象に直面すると無意識下で次の3つのいずれかの行動をします。

  • 黙殺
  • 否定
  • 思考停止

これらは、人間が自分自身の常識を守ろうとする本能です。

しかし、この本能が問題解決に当たっては学習障害として立ちはだかります。

また、自分や他人にレッテル貼りをするのもダウンローディングの1つです。

問題解決の障壁となるダウンローディングですが、個人個人のダウンローディングな状態は集団となった時に感染します

例えば飲み会で延々と若手に対して仕事論を熱弁する部長を想像してみてください(下図参照)。

ダウンローディング状態の感染

上のように部長の説教を発端に部長のダウンローディングが若手にレッテル貼りという形で感染しています。

こうなると最悪で、この後は

部長
部長

コラ若手、ちゃんとワシの話を聞け!

若手
若手

聞いてますよ(めんどくさい部長だな)

みたいな展開になり、関係が悪化する未来が見てとれます。

このダウンローディングを防止するには次の2つに気づく事が重要です。

  1. ダウンローディングの引き金となる自分の反応
  2. ダウンローディングに陥っている自分

参考までに、次の7つがダウンローディングの引き金になりやすいです。

  • バカにされた
  • 大切なモノを傷つけらる
  • 思い通りにいかない
  • 都合の悪い事実を指摘される
  • 自然体でいられない状況
  • 平行線をたどる議論
  • 疲労や体調不良

また、ダウンローディングに陥っている状況も参考までに紹介します。

人の話を聞きながら

  • その情報が正しいか否かを瞬時に判断している
  • 既に知っている情報だと思って聞いている
  • 話の結末を予想している
  • 自分が次に何を喋るか考えている

上記を参考にしつつ、自分がダウンローディングになっていると気づいたら、一旦、自分の考えや意見を保留する事がダウンローディングから抜け出す方法です。

観る(Seeing)

観る(Seeing)とは、自分の概念を覆すような情報に触れた時に起こる、「目から鱗が落ちる」状態を指します。

観る(Seeing)な状態にある時、人間は自分の常識を忘れ、ただ目の前の情報のみに集中することができます。

注意点として、ダウンローディングから 観る(Seeing) への移行は能動的にはできないことが挙げられます。

つまり、 観る(Seeing) への移行は、その瞬間が来るのを待つしかないということです。

観る(Seeing) が訪れやすい場所で待つには前述のダウンローディングから抜け出す努力を常に心がけることが重要です。

この心がけにより、あなたはセンス・オブ・ワンダー驚きのセンスを磨くことが出来ます。

例として、「ダウンローディングな会話」と「観る(Seeing)な会話」を比較してみてみます(下図参照)。

例のとおり、観る(Seeing)な会話では、相手からの情報にフォーカスすることで生産的な会話となってます。

観る(Seeing)な会話をする人は一般に、「好奇心旺盛な人」、「柔軟な人」として周囲から認知されます。

観る(Seeing)への移行はあくまで受動的に発生する

観る(Seeing)への移行 を待つ間はダウンローディングにならないように注意する

感じ取る(Sensing)

感じ取る(Sensing)とは自分の中に他人の目玉をインストールすることです。

目玉をインストールってなんか怖い

具体的にいうと、相手が感じている事を自分の事のように感じる状態を指します。

U理論がPDCAサイクルと一線を画しているのが、この相手の内面にフォーカスする点です。

従来の問題解決法では、

  • 過去の経験や常識を使って解決しようとする➡つまりダウンローディング
  • データを分析して原因を特定しようとする➡つまり観る(Seeing)

が一般的でした。

しかし、人間には心があります。

そこでU理論は、この相手の心から物事を捉え、問題解決のヒントを探ります。

感じ取る(Sensing)の具体例

  • 子どもが出来て初めて親の気持ちが分かる
  • 風邪を引くと健康のありがたみを知る
  • 部下が出来て初めて上司の言葉が理解できる

感じ取る(Sensing)移行すると、相手の主張が心で理解できるようになります。

ちょっとまてよ。

感じ取る(Sensing)状態だと相手の言い分を全て飲むことになるのでは?

それって危なくね?

感じ取る(Sensing)状態 は相手の言いなりになる事ではありません。

感じ取る(Sensing)状態は相手の気持ちになるということです。

これにより、相手の言い分が正しいかはともかく、そう言いたくなる気持ちは分かるという状態になります。

また 感じ取る(Sensing)状態は同時に自己の内面にもフォーカスします。

自分が心の奥底で感じている諦めや不安の声を聴こうとするのです。

この不安や諦めの声をVOC(Voice Of Cynicism:諦めと皮肉に満ちた声)と呼びます。

このVOCは自分の価値観に強く影響している場合が多いです。

例えば、

  • 他人なんて信用ならない
  • 自分はどうせ頭が悪い
  • 解決策など存在しない

などといったものです。

このVOCに気づかないと、他人からの善意も全て裏があるように感じてしまいます。

すると相手の目玉を自分にインストールすることが困難になります。

しかし、このVOCに気づき、この声を周囲に自己開示すると、周囲も自身のVOCに気づきやすくなり、何でも話しやすい場が生まれます。

このように場全体が感じ取る(Sensing)へ移行すると、安心できる雰囲気が醸成され、議論もそれまでになかった良い方向へ転がりだします。

プレゼンシング

プレゼンシングとは最高の未来の可能性の源と繋がり、それを今に持ち込む事を言います。

ちなみにプレゼンシングは sensing(感じ取る)とpresence(存在)の混成語で、U理論で難解といわれる部分の一つです。

なので、しっかりと解説していきます。

まずプレゼンシングと今までの3つのステップの大きな違いを紹介します。

【今までの3ステップ】

  • 過去または現在の枠組みから物事を捉えている。
  • 自分の内面で体験している。

【プレゼンシング】

  • 未来の可能性から物事を捉えている。
  • 個人の枠を超え共振するかのように他人にも響く。

分かりやすい例えとして、何度観ても涙するような感動的な映画はそのシーンがプレゼンシングの状態で生まれた可能性が高いです。

また、過去の偉人(ガンジーやマザーテレサ、モーツァルトなど)の言葉や音楽が、彼らの死後も多くの人の心を揺さぶるのは、それがプレゼンシングの状態で生まれたからだと言えます。

言い換えるならプレゼンシングとは、多くの目玉を取り込むことでそれまでの自分一人のちっぽけな自己を手放し、大きな自己と繋がっている状態だといえます。

U理論ではこのちっぽけな自己を小文字のself、大きな自己を大文字のSelfと表現されています。

プレゼンシングという感覚は人によって異なるため、表現するのが困難ですが、例えばMr.Childrenの桜井さんの場合、音楽を創る際以下のような感覚になっていると表現されています。

「自分をまっさらな何も考えない状態にして、(自分の中から出てくる)その音と向き合わせる時に、その音楽が自分の中の何かを引き出してくれて、その引き出た何かがリスナーの何かと結びついていく。」

出典:U理論入門p221

過去の延長線上にない全く新しい可能性を迎える瞬間こそが「未来が出現する瞬間」であり、プレゼンシングに達した瞬間でもあると言えます。

例えば会議中にプレゼンシングが生じれば、話し合いが新たな局面を迎え、会議の参加者皆が「これだ!」という感覚になると思います。

それは劇的な変化ではありませんが、積み重なっていくことでいずれイノベーションにつながります。

本書の中では、「京都一荒れた高校をラグビー日本一にした話」など、多くの具体例を盛り込んでプレゼンシングとう状態について解説されています。

よりU理論の核の一つでもあるこのプレゼンシングをより深く理解されたい方は本書をご一読ください。

ではどうのようにすればこのプレゼンシングに到達できるでしょうか?

答えは「手放す」ことです。

手放す?何を?

手放すものは執着そのもであり、正確にいえばアイデンティティです。

基本的に人間は執着を持っているものを存続させようとします。

例えば下記のようなモノに執着しています。

  • 自分の肉体
  • 自分の子ども
  • 自分の車
  • 自分のスマホ

挙げればきりがないですが、注目すべきは”自分の”という意識です。

”自分の”という意識があるものを傷つけられたり、否定されそうになると私たちは通常、それを守ろうとします。

この執着は上に挙げたようなモノ以外にも発生し、自分の考え方も執着の対象となります。

しかし、この自分の考え方を守ろうとすると、どうしても過去からの延長線上で得られるような解決策しか出てこなくなります。

その為、未来から学びとれる、プレゼンシングの状態に至るためにはあらゆる執着を手放し、何にもとらわれない状態になる必要があります。

これはとても難しく、執着を手放す瞬間は自分が自分でなくなってしまったり、大切なものが壊れるような恐怖が伴うといわれます。

しかし、逆に言えば、新たな事にチャレンジする際に恐怖感が伴っていればそれはプレゼンシングに至る可能性が高く、今まで予想だにしなかった方法で問題が解決できる兆候だといえます。

結晶化(Crystallizing)

結晶化(Crystallizing)とは先ほどのプレゼンシングの状態から実際に行動に移し、ビジョンを明らかにすることをいいます。

ポイントは、プレゼンシングに至っているということです。

ビジョンを示すだけならダウンローディングな状態からでも可能です。

しかし、それでは周囲の人が付いてこなかったり、空回りして失敗に終わる事が多いです。

例えば、トップダウンで会社の「今年の目標」を発表されても、それに心から賛同して邁進する社員は少ないと思います。

これはビジョンに対する誤解に起因しています。

ビジョンとは会議などで話し合って作るものと思いがちですが違います。

ここで、本書の文章を一部抜粋して紹介します。

ビジョンは崇高な理想でもなければ、鼓舞するための言葉でもない。実用的な手段なのである。ビジョンの最も単純な定義は、自分たちが生み出したいもののイメージである。

出典:U理論入門p233

ビジョンは押し付けられるものでは無く、自分事として感じられるものだといえそうです。

結晶化(Crystallizing)を実現するためには、プレゼンシングで手放したのと反対に迎え入れる事が必要です。

プレゼンシングで小さな自己(self)を手放してできた空白に大きな自己(Self)を入れるイメージです。

普段の私たちは頭で考えて答えを導くことに慣れてるため、アイデアは脳が作り出す産物だと思いがちです。

しかし、優れた画家やアーティストは自分のなかで湧き上がるイメージ、インスピレーションを大切にしてそこから作品を生み出すというプロセスを経ているというということも事実です。

ここで、具体例として再度、 Mr.Childrenの桜井さんのエピソードを紹介します。

桜井さんはインタビューで「詞と曲のどちらを先につくるのですか?」と質問され以下のように答えました。

僕はほぼ曲ですね。多分曲が訴えたいこと、それから歌いたいこと、叫びたいことの何かのイメージを持って生まれてくるんだと思うんですよね。で、そのメロディーが頭の中ででてきて、なんとなくキーを決めて、自分の口の中でそのメロディーを、「ラララ」であったり、適当な英語で叫んでいる。その口の開き方であったり、声のかすれ方など、これは怒りなのかや優しさなのか、その音から自分が(詩となる言葉を)もらうんですね。

出典:U理論入門p237

このように、頭の中で歌詞を構築していくのではなく、声のかすれや口の開き方など頭ではなく身体を使って考えていることが分かります。

結晶化(Crystallizing) の具体的な手法には以下のようなものがあります。

  • ブレインストーミング
  • 創作ダンス
  • 粘土作品つくり

いずれも、頭で考えすぎず、手や身体が動くに任せ直感的に行うのが大切です。

プロトタイピング(Prototyping)

プロトタイピングとは、今までのステップが意識状態やイメージの話であったのに対し、いよいよそれらをアウトプットするプロセスを言います。

U理論の言葉を借りて言い換えれば、「全体を理解して計画を立てるまに行動を迫り、頭と心と手に宿る知恵を一体にして使えるようにする」ことが求められます。

例えば画期的な商品やサービスを生み出した人たちは皆、突然のひらめきによってワクワクし、それを形にするために試行錯誤を繰り返していると言われます。

この時、私たちはしばしばそういった天才肌の人たちのやり方を真似しようとしますが、これは大切な部分に注目し忘れています。

それは、試行錯誤だけが独立しているのではなく、そのワクワクやひらめきも試行錯誤と密接に関わっているということです。

実は私もこのことについてTwitterで発信しています。

プロトタイピングとはとどのつまり、結晶化(Crystallizing) して現れたビジョンやイメージに試行錯誤しながら形を与えていく作業になります。

しかしここで注意する点があります。

結晶化(Crystallizing) で得たビジョンやイメージはあくまで未来からの借り物であるため、プロトタイピングの過程でそれらのビジョンが直感的に違うと感じたらそれにこだわりすぎずに進む事が求められます。

U理論で7つのステップを経る過程をUの谷に潜ると表現されますが、Uの谷には1度潜るのではなく、小さなUの谷を何度も潜って1つの大きなUの谷を潜るようなイメージが成功の秘訣です。

何度もUの谷を潜るイメージ

実践(Performing)

いよいよ最後のステップです。

実践(Performing)はプロトタイピングを通して形を成してきたものを実際に問題解決に向け提供するプロセスです。

言い換えると、プロトタイピングまでが特定のプロジェクトや組織、個人の中で行われた活動であるのに対し、実践(Performing)ではそれを公に繰り広げ、日常に組み込まれる段階です。

例えば、どんなに映画の脚本が優れていても、それに出演する役者の演技が死んで入れば名作にはならないのに似ています。

ここで、残念な事実をお伝えします。

Uの谷を浮上してきてようやくこの実践(Performing)まできましたが、これらは組織やコミュニティで大切にされることは少なく、むしろ、無視されたり軽視されたりする場合が多いです。

なぜなら、新しいアイデアを実行しようとするとき、周囲の人は知らず知らずのうちに「お手並み拝見モード」や「コメンテーターモード」に入ってしまうからです。

周囲のこういう姿勢はイノベーションを起こそうとしているあなたに対して、孤独や排斥感として押しかかります。

しかし、ここで重要なのはそれでも諦めず粘り強くあなたのUの谷で得たものを存続させようとすることです。

これを続けるうちに周囲にもその熱が伝わり協力者が現れるはずです。

周囲が徐々に賛同して、イノベーションを起こす過程のイメージとして下記の動画がおすすめです(音量注意)。

Sasquatch music festival 2009 – Guy starts dance party

動画では1人の男性が踊っている所に、1人また1人と一緒に踊る人が増えていく様子が撮影されています。

海外のオモシロ動画ですが、あなたのUの谷から生まれたアイデアが理解されない時、勇気を与えてくれると思います。

おわりに

以上でU理論のざっくり解説を終わります。

ざっくりといいつつ約1万文字の記事なので、ここまで読まれた方は凄いです。

本書ではさらにU理論を夫婦間の子育て問題に用いる例や組織としてU理論を実践しているアウトドアメーカーのパタゴニア社の事例なども紹介されています。

具体例を更に知りたい方にはおすすめです。

入門はもう十分という方はU理論本編もどうぞ。

おまけ

U理論の他にもおすすめのビジネス本を別記事で紹介しています。

本は違えどU理論に通ずる部分が多くあり、とても興味深いラインナップを揃えています。

ruru
ruru

ではまた!

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